大相撲名古屋場所11日目(22日、愛知県体育館)、新大関照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)が横綱白鵬(30=宮城野)に寄り切られて2敗目を喫した。それでも、新大関に落胆の色はない。横綱の再三の寄りを土俵際で残すなど見せ場をつくり「力を試せた? よかったです。(立ち合いで)上手を先に取れなかったけど、それでも残せた。ちょっと自信がついた」と収穫を得た様子だった。

 さらには「(白鵬に)ちょっとずつ近づいている感じ。力試しでどこまで通じるか。内容は良かった。何年か後に勝てればいい」とも…。

 仮にも、相手は優勝34回の大横綱だ。心の中で思っていたとしても、実際に「近づいている」と言えるのは、幕内を見渡しても照ノ富士ぐらい。よほどの自信がなければ、口にできる言葉ではない。

 実際、兄弟子の横綱日馬富士(31)でさえ、白鵬のことを「大横綱」と呼んで気を使っているほどだ。照ノ富士と白鵬の年の差は7歳。この日の発言からも、そう遠くないうちに世代交代を実現させる“青写真”が見てとれる。今場所も優勝争いで一歩後退したとはいえ、トップとは1差。まだ2場所連続Vをあきらめているわけではない。

 照ノ富士は「まだ優勝争いのチャンスがあるんで、千秋楽まで勝っていきたい」。

 結果的に優勝できなかったとしても、残り4日間を全勝すれば13勝。審判部で「優勝に準ずる成績」と判断される可能性は高い。そうなれば、次の秋場所で早くも綱取り挑戦となる。

 年6場所制となった1958年以降、新大関から2場所での横綱昇進となれば史上初。終盤戦に注目だ。