白鵬のダメ押し問題“大甘裁定”が照ノ富士に悪影響?

2015年07月22日 16時00分

支度部屋ではダメ押しに改めて反省の言葉を口にしたが…

 大相撲名古屋場所10日目(21日、愛知県体育館)、横綱白鵬(30=宮城野)が関脇栃煌山(28=春日野)のはたき込みに屈して初黒星。優勝争いは1敗に4人が並ぶ混戦模様となった。一方で、9日目に白鵬が関脇逸ノ城(22=湊)にダメ押しをした問題の波紋が拡大。審判部では横綱への対応をめぐり意見が紛糾する事態となった。最終的には、師匠を通じた口頭注意だけで決着。この「大甘裁定」が、新大関照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)に“悪影響”を及ぼす可能性も指摘されている。

 

 取組後の白鵬は「今日は今日、明日は明日で切り替えていきたい」。まさかの初黒星にもサバサバとした表情を浮かべた。1敗に4人が並ぶ混戦模様とはいえ、優勝争いの先頭に立っている状況に変わりはない。残り5日間に集中する構えだが、舞台裏では前日9日目のダメ押しをめぐってドタバタ劇が繰り広げられていた。

 

 10日目の昼すぎのことだ。審判部長の伊勢ヶ浜親方(55=元横綱旭富士)ら審判部の親方衆が白鵬のダメ押しについての対応を協議。関係者の話を総合すると、主に次のようなやりとりがあったという。

 

 親方A「横綱本人を審判部に呼んで、注意するべきだ」

 

 親方B「それでは大ごとになる。師匠に注意すれば済むのでは」

 

 親方C「師匠に言ったところで、何も変わらない。本人に直接、ガツンと言わないとダメだ」

 

 伊勢ヶ浜親方「……。師匠に言っておけばいいだろう」

 

 結局、師匠の宮城野親方(57=元幕内竹葉山)が審判部に謝罪に訪れ、伊勢ヶ浜親方が口頭で注意しただけ。横綱本人は事実上の“おとがめなし”となった。

 

 白鵬は今年1月の初場所後に審判批判をブチ上げて物議を醸したばかり。昨年11月の九州場所では土俵下でのダメ押しが問題視された。今回の一件を含めて審判部が下した判断は、いずれも師匠を通じた口頭注意のみにとどまっている。

 

 こうした「ことなかれ主義」にも映る腰が引けた対応には、親方衆の間にも不満がくすぶっている。今回の「大甘裁定」を伝え聞いた親方の一人は「これでは下の者にも示しがつかない。特に、モンゴルの力士たちは白鵬のことを見ている。いずれは照ノ富士だって白鵬の悪いところをマネするようになるはずだ」と苦虫をかみ潰した。

 

 新大関の照ノ富士は今場所も規格外の強さを発揮し、ここまで1敗で白鵬と並び堂々のV争いを繰り広げている。さらなる成長も見込まれるだけに、横綱昇進は時間の問題と言っていい。いずれ照ノ富士が番付の頂点に立ったとき、白鵬の横綱としての振る舞いに少なからず影響を受ける可能性は否定できないのだ。

 

 当の白鵬は「(感情を)抑えるところは抑えて。勝負の世界ですから、意識してやっていきたい」と改めて反省の言葉を口にしていたが…。今度こそ、本当に“改心”できるのか。