意地で残った。大相撲夏場所12日目(19日、東京・両国国技館)、幕内宇良(29=木瀬)は大関貴景勝幕(25=常盤山)を突き落として3敗(9勝)を守った。

 のど輪で起こされ、土俵際まで押し込まれたが、左足1本で半回転して逃れる。その後、相手が土俵を割るまで持ちこたえようと再び左足で体を浮かせた。物言いがついたが、軍配通り宇良が白星を手にした。大関を破り「勝ててよかったです」としつつ「(最後の場面は)分からないですね」と率直な感想を語った。

〝業師〟の軽快な動きに土俵下の佐渡ヶ嶽審判長(元関脇琴ノ若)は「あれが本来の宇良の持ち味。貴景勝が焦って出てしまったかな」とうなずいた。

 単独トップの幕内隆の勝(常盤山)を1差で追走。今場所も残り3日となったが、宇良は「トップじゃないですし、一つ上の人が負けることを祈ってやっているわけでもない」と、あくまで優勝争いは意識していないことを強調する。一日一番に集中し、最後までファンを楽しませてくれるはずだ。