大関候補の面目躍如だ。大相撲夏場所11日目(18日、東京・両国国技館)、関脇若隆景(27=荒汐)が大関御嶽海(29=出羽海)を寄り切って6勝目。幕内通算100勝を達成した取組後は「(勝因は)我慢できたところ。これからも積み重ねていきたい」と表情を引き締めた。

 先場所は86年ぶりとなる新関脇優勝を果たし、大関挑戦の起点をつくった。しかし、今場所は前半戦から苦戦が続き、8日目までに3勝5敗。母校・東洋大の浜野文雄監督も「ちょっと疲れが残っているのかな」と教え子を心配していた。それでも若隆景は、大関陣を3日連続で撃破して白星を先行させた。

 逆境をはね返すのは、学生時代に経験済みだ。大学4年の全国学生相撲選手権(インカレ)は団体で優勝に貢献。個人でも準優勝したが、実は大会直前に足首を負傷していた。痛みをこらえながら大舞台で奮闘する姿に、浜野監督は「やはり気持ちが強いなと。精神力でよく頑張った」と当時を振り返る。

 そんな若隆景の強みは「心技体」が備わっていることだという。「大学に入ってきた時から、すでに技巧派という印象。そこに前に出る力がついて成績も付いてきた。立ち合いではヒザがよく曲がっているが、あれは体重が全部乗るから、なかなか難しい。それだけ強靭な足腰と体幹が鍛えられているということ」(浜野監督)

 大関戦3連勝で、実力を改めて証明。残り4日間も白星を積み重ね、来場所以降の大関とりにつなげたいところだ。