看板力士が意地を見せた。大相撲春場所13日目(25日、大阪府立体育会館)、新大関御嶽海(29=出羽海)が新関脇若隆景(27=荒汐)を一方的に寄り切る快勝で10勝目(3敗)。優勝争いに踏みとどまった取組後は「(母校・東洋大の)後輩に負けられない。一つ目標(2桁白星)をクリアできたんで、今日は気持ちよく帰りたい」と先輩の貫禄を漂わせた。

 その新大関に、故郷・長野からは〝背水の覚悟〟を求める声が上っている。地元後援会の村上智明幹事長は「大関なら、2桁は目標じゃなく当たり前じゃなきゃいけない。もちろん、本人が一番そういう気持ちになっていると思う」とした上で「(大関から)落ちるくらいなら引退する覚悟を持ってやってほしい。大関、横綱というのはそういう地位であるべき。落ちたらいつでもやめるくらいの覚悟を持ってやってほしい」とハッパをかけた。

 大関は横綱とは異なり、2場所連続で負け越せばその地位から陥落する。翌場所で10勝以上を挙げれば大関に復帰できる救済措置がある一方で、幕内高安(32=田子ノ浦)や幕内栃ノ心(34=春日野)らのように平幕へ転落後も土俵に立つ力士は少なくない。過去10年を見ても、大関陥落を区切りに引退したのは豪栄道(現武隈親方)1人だけ。地元後援会は、あえて退路を断って横綱へ挑むことを求めた。

 その御嶽海は、残り2日間へ向けて「1日1勝、しっかり取って気持ちよく終わりたい」。他の大関との違いを見せるためにも、連勝で締めくくりたいところだ。