〝天下統一〟なるか。大相撲春場所11日目(23日、大阪府立体育会館)、新関脇若隆景(27=荒汐)が元大関の幕内高安(32=田子ノ浦)を寄り切って10勝目(1敗)。全勝の相手に土をつけて優勝争いのトップに並んだ。取組後は「とにかく一生懸命、相撲に集中して自分の相撲が取れたのでよかった」と淡々とした表情で振り返った。

 祖父は元小結若葉山、父親は元幕下若信夫の相撲一家で育った。長男は幕下若隆元(30)、次男は幕内若元春(28)で若隆景は3兄弟の末っ子。しこ名は、戦国大名の毛利元就が「三本の矢」の教えを授けた3人の子(毛利隆元、吉川元春、小早川隆景)に由来する。若隆景は出世頭として2人の兄を引っ張り、史上初となる「3兄弟同時関取」の夢の実現へ向けて奮闘を続けている。

 その新関脇は、27歳で4人の子(1男3女)を持つ一家の大黒柱でもある。古くから知る関係者は「子供たちと一緒にいるところを見ても、子煩悩の父親」と証言。一昨年に新型コロナウイルスに感染して入院した際には、自身よりも家族の体調を心配していたほど。〝大家族〟の存在が大きな原動力となっている。

 この日の白星で三役として初の2桁10勝に到達し、大関挑戦の最初の関門を突破。初優勝となれば、看板力士の有力候補に躍り出る。このまま白星を積み重ね、横綱不在の〝戦国場所〟を制することができるか。