大相撲春場所7日目(19日、大阪府立体育会館)、新関脇の若隆景(27=荒汐)が幕内大栄翔(28=追手風)を送り吊り落としで破って6勝目。全勝の幕内高安(32=田子ノ浦)を1敗で追っている。

 立ち合いから幕内優勝経験のある実力者・大栄翔の強烈な突き押しを浴びたが、巧みにいなすとそのまま押し込んだ。土俵際では相手を背後からつり上げ、土俵外に背中から豪快に落としてみせた。

 決まり手の「送り吊り落とし」は、2007年秋場所で安馬(元横綱日馬富士)が豪栄道に決めて以来14年半ぶりの荒技で、幕内ではこれが4度目となる〝珍手〟。ツイッターでもなんと「吊り落とし」が一時、トレンド入りしたほどだ。

 決まり手に関して取組後の若隆景は「一生懸命やっただけです」と話し、稽古でも試したことはないという。ただ、これで1敗を堅持。それだけ調子のいい証しだ。新関脇として十分に場所を盛り上げている。

 祖父が元小結若葉山、父親も元幕下力士で、2人の兄が幕下若隆元、幕内若元春という相撲一家の出身で、かねて注目を集めてきた。その兄の若元春もこの日に千代翔馬を破り、5勝目を挙げた。当然、兄の奮闘にも刺激を受けており、相乗効果となっているようだ。

 闘志あふれる相撲で大関候補に名前が挙がる期待の星は「明日から一生懸命集中してやりたいです」と前を向く。まずは大関への地固めとして2桁勝利を狙いたいところだ。