日馬富士「綱の資格」を横審疑問視

2012年09月23日 12時00分

 綱取り目前で、まさか、まさかの“物言い”だ。秋場所13日目、大関日馬富士(28=伊勢ヶ浜)は大関稀勢の里(26=鳴戸)を寄り切りで下し、全勝を堅守。横綱昇進の目安とされる13勝に到達し、悲願成就へ向けて大きく前進した。ところが、この期に及んでも横綱審議委員からは「綱の資格」を疑問視する声が…。いったい、どういうことなのか。

 

 無傷の13連勝を決めた日馬富士は「自分の相撲を取り切ろうと思った」と納得の表情を浮かべつつも「優勝? 一番一番。結果はあとからついてくる。余計なことは考えない」と自らに言い聞かせるように話した。北の湖理事長(59=元横綱)は「目安の13勝にはきている。ただ、一番の前提は(2場所連続)優勝。残り2日間ありますから」と話すにとどめたが、綱取りに向けて大きく前進したことは間違いない。

 

 ところが、思わぬところから“物言い”がついた。横審の重鎮、澤村田之助委員(80=歌舞伎役者)が「14勝以上で優勝なら推薦しますが、それ以外なら私は推薦しません」と断言。「大関が3人も休んでいるんですよ。それに、夏場所の成績を見てごらんなさい。8勝7敗なんか、横綱の成績じゃありませんよ」と強い不満を口にした。今場所は3大関が休場して格下との取組が増えた上に、過去6場所で8勝7敗が3度。実力そのものに疑問符をつけているのだ。

 

 問題視しているのは、成績だけではない。日馬富士は仕切りの際に両腕を深く折り曲げ、顎が土俵につきそうなほど低い前傾姿勢を取ることで有名。

 

 これにも「あんな仕切りをしている人が、横綱になっちゃダメですよ。単なるパフォーマンスじゃないですか。横綱に、そんなものはいりません」とピシャリ。綱を張る者ならば、感情を表に出さずに淡々と仕切るべきというわけだ。

 

 これらの意見は、全ての横審委員の考えを代弁したものではない。ただ、「人間国宝」の澤村委員は横審でも特に相撲に対する造詣が深く、伝統を重んじることで知られている。あえて厳しい言葉を並べるのも、相撲界の行く末を案じているがゆえ。勝ち星だけで判断する安易な横綱昇進に“警鐘”を鳴らした格好だ。