大相撲夏場所(10日初日、東京・両国国技館)を前に、幕内遠藤(24=追手風)の“強行出場”をめぐり角界内で波紋が広がっている。遠藤は春場所5日目(3月12日)の取組で左膝前十字靱帯と半月板を損傷。全治2か月の重傷と診断された。手術を回避したとはいえ、どれだけ早くても7月の名古屋場所での復帰が大方の見方だった。

 ところが、遠藤は5日に「出る方向でいる」と出場を表明。一方で、6日の稽古では新十両の大翔丸(23)を相手に2勝3敗と苦戦するなど不安を払拭できていない。その遠藤に対して、親方の一人は「出るならしっかり治してからじゃないと。中途半端な形で出て(患部を)悪化させれば、余計に長引く。場合によっては、師匠の判断で休ませることも必要」と警鐘を鳴らす。

 遠藤は日大3年時に右膝前十字靱帯を断裂。復帰まで約8か月間を要した。師匠の追手風親方(48=元幕内大翔山)は当時の遠藤について、次のようなエピソードを明かしたことがある。「本人は強がりで負けん気が強い。あの時も『大丈夫です』と言って、1年近くかかった」

 弱みを見せたがらない性格は、今も変わらない。春場所で負傷した直後にも、病院に見舞いに訪れた追手風親方に向かって「おかげさまで勝ちました」と言い放ったほどだ。そうであれば、なおさら師匠のほうからストップをかけるべきというわけだが…。

 このまま出場すれば待望の大銀杏を初披露することになるが、ファンが本当に見たいのは期待の遠藤が土俵で大活躍する姿のはず。本当に大丈夫なのか。