把瑠都の綱取りに厚すぎる壁

2012年03月04日 10時00分

 エストニアの怪人に“冷や水”が浴びせられた。大相撲春場所(3月11日初日、大阪府立体育会館)の新番付が発表された2月27日、大関把瑠都(27=尾上)は綱取りに強い意欲を見せた。ところが、横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長(84=元日本経済新聞社長)は昇進のハードルを上げることを明言。その“厳しすぎる”中身とは——。

 綱取りに初挑戦する把瑠都は会見で「初めてのことなんで、気合を入れていきたい」と強い意欲を口にした。初場所は14勝1敗で初V。2場所連続優勝なら横綱昇進の条件をクリアするが、すんなりとはいきそうにない。初場所12日目の大関稀勢の里(25=鳴戸)戦で見せた注文相撲や、千秋楽でのガッツポーズなどが横審委員の不評を買ってしまったからだ。


 実際、横審は横綱推薦の条件をこれまで以上に厳格化する構え。鶴田委員長は「慣行通りにやればOKかというと、簡単にはいかない。横綱にするのであれば(委員が)全員一致じゃないと。反対意見があれば、推薦しないケースだってあり得るよ」と断言した。


 横審の内規では連続優勝なら原則的に横綱に推薦、準ずる成績なら出席委員の3分の2以上の決議があれば推薦できる。これに新たに「全員一致」の方針を加えるという。成績上は昇進の条件を満たしたとしても、委員の意見が割れれば最終的に「委員長一任」などの形で昇進が見送られる可能性もある。


 厳しい方針を打ち出す背景にあるのは元横綱朝青龍(31)の前例があるからだ。
 2003年初場所後に横綱に昇進する際、当時の内館牧子委員(63=脚本家)は「品格」を問題視して最後まで反対の姿勢を貫いた。横綱に昇進させた結果、その7年後に朝青龍は度重なる不祥事で角界を“追放”された。しかも推薦した当事者の横審が引退勧告を決議するという異例の事態にまでなった。このため、今回の姿勢は「第2の朝青龍」を生み出さないための決意とも受け取れる。


 把瑠都はこの日「横綱は土俵だけではなく、外でも素晴らしいもの。自分もしっかりしないといけない。勉強も稽古もたくさんしないと」などと殊勝な言葉を口にしたが…。綱取りのハードルはどこまで高くなるのか。