強さの秘密は? 大相撲九州場所で2場所連続6度目の優勝を果たした横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が、早くも来年に視線を向けている。千秋楽から一夜明けた29日の会見では「やり遂げたあとの気持ち良さを味わいたかった。普段から自分に厳しくしたことが良かった」と改めて達成感を口にした。

 今年は賜杯を4度獲得し、関脇から横綱まで番付を一気に駆け上がった。充実の一年に「いつも目標を高く持ってやっている。いい時も悪い時もあったが、結果的によかった」と振り返る一方で「今場所が終わったら、次の場所が始まるという気持ちでずっとやってきている」と休養を挟まず〝無休〟で精進していく構えを見せた。

 伊勢ヶ浜部屋は質、量ともに厳しい稽古内容で知られ、本場所中でも取組さながらの激しい稽古が行われる。中でも、照ノ富士は「場所中の稽古も、次の場所に向けた稽古という考え。だから場所中も普段と(稽古は)変わらない」(部屋関係者)という。目先の白星だけにとらわれず、常に「一歩先」を行く稽古が圧倒的な強さを支える要因となっているようだ。

 九州場所の照ノ富士について、横綱審議委員会の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は「横綱らしい相撲を展開していた。日ごろの精進が実ったのでは。本人も、相当強い自覚を持っていると感じる。彼の発言を聞いていると、浮ついたところがない。立場にふさわしい覚悟ができている」と手放しで大絶賛。来年に向けて「2桁優勝」を目標に掲げる横綱だが、この調子ならそれすらも通過点としてしまいそうだ。