受けて立つ覚悟で快挙を成し遂げた。大相撲九州場所14日目(27日、福岡国際センター)、横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が幕内阿炎(27=錣山)を押し倒しで下し、2場所連続6度目の優勝を飾った。

 立ち合いで一気に前に出て突きやのど輪で攻める相手に一時、土俵際まで追い詰められる。大関貴景勝(常盤山)を真っ向勝負で破るなど、今場所で破竹の活躍を見せてきた相手の勢いにこのままのみ込まれるかと思われた。しかし意地で踏ん張って残り、体勢を立て直すと最後は土俵に転がし相手の勢いと賜杯への望みを断ち切った。

 取組後は「ホッとしている。(平幕との優勝争いにも)特に深い考えはなかった。(土俵に)上がれば、みんな一生懸命、勝ちにいくのは当たり前だからこっちも同じ気持ちでやっている」と振り返った。

 9月の秋場所後に元横綱白鵬の間垣親方の引退により名実ともに一人横綱の重責、さらに完治しないヒザの爆弾。そんな不安材料をもろともしない相撲で今場所も安定感を示し続け、1962年初場所の「昭和の大横綱」大鵬以来となる59年ぶりとなる新横綱からの2場所連続優勝の快挙を成し遂げた。

 照ノ富士は「毎場所違う感じがあるが、その中でやることは変わらない。一日一番の気持ちで、受けて立つ気持ちでやってきた」と語った。

 千秋楽は自身初の全勝優勝を懸けて臨むことになる中「来場所につながるように精一杯頑張っていきたい」とすでに視線の先を次の本場所に向けていた。