春場所で大旋風を巻き起こした新関脇の照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)は大関豪栄道(28=境川)を小手投げで破り、13勝目を挙げた。優勝決定戦には進出できなかったが、初の殊勲賞、2場所連続2度目の敢闘賞に輝いて評価を高めた。

 北の湖理事長(61=元横綱)も「13勝は大きい。今場所を面白くした立役者。横綱を狙える逸材だと思う」。早々と横綱候補だと明言した。

 まずは大関の座だ。審判部の伊勢ヶ浜部長(54=元横綱旭富士)は、5月の夏場所で14勝以上を挙げれば、大関昇進の可能性があるとの見解を示した。照ノ富士の師匠でもある伊勢ヶ浜親方は「それだけ勝っていれば、可能性はゼロではない。勝ち方なども関わってくるだろう」。

 ただ、8勝だった先場所は前頭2枚目。来場所14勝を挙げても、大関取りの目安とされる「三役で3場所合計33勝」はクリアできないことになる。大関昇進には相当なインパクトを残しての優勝が“絶対条件”になるが、照ノ富士は来場所の目標を2桁勝利に定め「達成してから次の目標は決めたい」と先を見据えている。「欲しいもの? おカネ」と言い放つやんちゃな大器は、横綱への階段を一歩一歩上がっていく。