大相撲春場所9日目(16日、大阪府立体育会館)、新関脇の照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)が小結妙義龍(28=境川)を力強く寄り切って8勝目。「うれしいですね。(勝ち越しを)決めたいと思っていたので良かった。もう次は2桁ですね」と早くも次なる目標に目を向けた。

 2009年3月に2歳年下の幕内逸ノ城(21=湊)と一緒にモンゴルから来日。鳥取城北高で互いに切磋琢磨した。後から入門した逸ノ城に新三役は先を越されたものの、照ノ富士も身長191センチ、体重180キロの体格と圧倒的なパワーの持ち主。怪物にも決して引けは取らない。

 師匠の伊勢ヶ浜親方(54=元横綱旭富士)の期待も大きい。「横綱になってほしい」との理由から、十両昇進を機に自らの現役時代のしこ名と部屋の大先輩にあたる横綱照国から取った「照ノ富士」と命名したことからも見て取れる。

 一方で、現時点での師匠の評価は手厳しい。「(以前に比べて)だいぶ前に出るようになったけど、まだ悪い。自分の形(右四つ)になってない。立ち合いから自分十分の形になれるようにならないと。まだ相手に合わせているところもある。物足りない? 全然。もっと相撲を覚えていかないと。これからだ」と“ダメ出し”を連発した。それも、期待の大きさの表れだろう。

 ただ、課題を指摘されながらも結果を残しているのだから末恐ろしい。実際、ここまでは不利な体勢からでも力で相手をねじ伏せる相撲で白星を積み重ねてきた。並外れた怪力に加えて相撲のうまさが備わったとしたら…。モンゴルから新たな怪物が出現した。