地元で失速のワケは――。大相撲春場所6日目(13日、大阪府立体育会館)、大関豪栄道(28=境川)が幕内豪風(35=尾車)の引き落としに屈して早くも2敗目。取組後は「今日は勝ち急ぎすぎた。肩にばかり力が入って足が前に出なかった」と唇をかんだ。


 大阪・寝屋川市出身のご当所力士。地元に初めて大関として“凱旋”した豪栄道には、連日大入りの館内で大声援が送られている。しかも、今場所は初日から4連勝。地元ファンの期待は大きく膨らみかけていた。大阪の維持員で構成される「東西会」の重鎮で横綱審議委員を務める岡本昭氏(岡安商事最高顧問)も、その一人だ。連勝中は「今場所は(鶴竜の休場で)横綱が一人いないし、地元の応援がある。こんなチャンスはない。何が何でも優勝してもらいたい」と期待を寄せていた。


 その一方で“一抹の不安”も抱いていた。豪栄道が4連勝した11日夜のことだ。東西会のメンバーと豪栄道による食事会が開かれた。岡本氏は、食事会がお開きになった後の出来事を振り返る。「(豪栄道に)『もう部屋に戻ったほうがいい』と言ったんだが、その後にキタ(北新地)に飲みに行ってしまった。大事な場所中なんだしほどほどにせなアカン」


 その豪栄道は翌日の5日目に初黒星を喫すると、6日目は痛恨の連敗…。皮肉なことに、岡本氏の抱いた不安が“的中”する結果になった。ナニワの和製大関は連敗にも「まだ、これからです」と前を向いたが…大丈夫か。