大相撲春場所(8日初日、大阪府立体育会館)でV34と6連覇を目指す横綱白鵬(29=宮城野)が1日、大阪・堺市の部屋宿舎で稽古を行った。出稽古に来た幕内旭天鵬(40=友綱)らを相手に23番相撲を取るなど精力的に汗を流したが、稽古後は相変わらず無言を貫いた。1週間後に本番を迎える春場所では、15日間の“完全黙秘”も現実味を帯びてきた。

 どこまで“ダンマリ”を押し通すつもりなのか。白鵬が最後に口を開いたのは2月23日の新番付発表会見が最後。その後は報道陣の前で沈黙を貫いている。同28日には大阪・住吉大社で奉納土俵入り後に白鵬、日馬富士(30=伊勢ヶ浜)、鶴竜(29=井筒)の3横綱による会見が設けられていたが、白鵬だけ会見の直前になってキャンセル。「急用」を理由にサッサと引き揚げてしまった。

 春場所を1週間後に控えた今も、白鵬自身に態度を軟化させる気配は見られない。このまま口を閉ざしたまま本場所に突入するどころか、千秋楽まで無言のままとなる可能性が高い。

 2月に東京・両国国技館で開かれた「大相撲トーナメント」や「福祉大相撲」では、支度部屋で報道陣に背中を向けて“取材拒否”。引き揚げる際には車に乗り込むまで付け人が周囲をガッチリとガードしていた。春場所で全く同じ光景が繰り広げられることも十分にあり得る。

 相撲人気回復の流れもあり、ここまで春場所の前売り券の売れ行きは好調。1月の初場所に続き15日間の満員御礼も見込まれている。史上単独1位のV33を達成した白鵬は、もちろん今場所も最大の注目力士。その「主役」が場所中にひと言も言葉を発しないとなれば、まさに異例の事態となる。場所の盛り上がりにも、大きな影響を及ぼしかねない。

 日本相撲協会の関係者も「(今回の審判批判騒動は)いつになったら収まるのか」と戸惑いを隠さない。この日の稽古後も付け人が「(横綱から)離れてください!」と声を張り上げるなど、ピリピリとした緊張感を漂わせた。春場所は初日から異様な空気に包まれることになりそうだ。