【検証】白鵬舌禍騒動の根底に日本人“優遇”

2015年02月27日 11時00分

付き人(右)と稽古場へ向かう白鵬

 大相撲春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)まであと10日。横綱白鵬(29=宮城野)による初場所後の審判批判が大騒動に発展し、その余波は今でも完全には収まっていない。審判部を中心とする親方衆の見る目は厳しさを増しているうえ、白鵬自身が発言の撤回を拒否。両者は一触即発の状況にある。史上最多の優勝33回を達成した大横綱の「舌禍騒動」とは、いったい何だったのか。改めて検証した。

 

 白鵬は25日、大阪・堺市の宮城野部屋で朝稽古を行い、新十両の石浦(25)らと21番相撲を取って汗を流した。師匠の宮城野親方(57=元幕内竹葉山)は「普段通り。動きは良かった」。一方で、白鵬自身は報道陣に口を開くことなく宿舎へ引き揚げた。午後に訪れた堺市役所でも取材対応しなかった。

 

 前日24日には日本相撲協会の北の湖理事長(61=元横綱)が「いつまでも尾を引いたらいけない」と騒動の収束を宣言。しかし、それは表面的なものに過ぎない。審判部を中心とする親方衆の見る目は厳しさを増している。そのうえ、何より白鵬自身が「子供が見ても分かる相撲」「肌の色は関係ない」などの発言の撤回を拒否。両者は一触即発の状況にあるのだ。

 

 なぜ白鵬はこうもかたくなな態度を貫くのか。角界関係者は「外国人力士であれば、納得できないことなんていくらでもある。今まで腹にたまっていたものが出たのだろう」とみる。今回の騒動の発端となった取り直しの判定は別にしても、外国出身力士の多くが「不公平感」を感じる場面が少なからずあるからだ。

 

 一昨年は大関稀勢の里(28=田子ノ浦)の綱取りをめぐって条件が“緩和”。昨年は豪栄道(28=境川)が大関取りの目安(3場所合計33勝)に満たない32勝で昇進した。こうした「日本人優遇」ともとれる措置に、外国出身力士の間で疑問視する声が上がっていたという。もちろん、白鵬自身も“アウェー”の現実を感じていたに違いない。

 

 初場所で、館内に起きた「遠藤コール」にムキになって乱暴な攻めを見せたことは記憶に新しい。稀勢の里に敗れて大勢の観客が万歳三唱をしたこともあった。実際、白鵬自身がわざわざ「肌の色は…」と“人種差別”と受け止められるような言葉を持ち出している点は軽視できない。今まで積もりに積もってきた不満が、一気に爆発した側面は否めないのだ。

 

 いずれにせよ、どのような事情であれ審判批判を正当化できる理由にはあたらない。このまま周囲との摩擦を残したまま、わが道を突き進むのか。謝罪や説明のタイミングを逸した今、もはや後戻りできない状況になりつつある。