日本相撲協会は12日、理事会で元大関の琴欧洲親方(31)が年寄「鳴戸」を継承、襲名することを承認した。同親方は昨年3月に現役を引退。当時は親方になるために必要な「年寄名跡」を取得しておらず、大関経験者の優遇措置でしこ名のまま親方の資格(3年間)を得た。今回、正式に「鳴戸」の名跡を継承したことで、65歳の定年まで相撲協会に親方として残ることができる。

 現在は佐渡ヶ嶽部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっているが、定年まで身分が保障されたことで将来的には独立することも可能になった。かねて親方は本紙に「独立して自分で部屋を持つことは、夢として持っている」と明言。名跡継承は、そのための第一歩と言える。

 元横綱隆の里が創設した旧鳴戸部屋には、大関稀勢の里(28)、小結高安(24)らが所属。部屋を継いだ現師匠の元幕内隆の鶴(38)が一昨年12月に「鳴戸」から「田子ノ浦」へ名跡を変更したため消滅した。ブルガリア出身の元大関の手によって「鳴戸部屋」が復活する可能性が出てきた。