「第2の故郷」からラブコールだ。大相撲秋場所3日目(14日、東京・両国国技館)、新横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が幕内隆の勝(26=常盤山)を寄り切って初日から3連勝。一人横綱の重圧を感じさせない強さを発揮して、優勝争いで独走態勢に入った。その照ノ富士には、高校時代を過ごした鳥取県も熱視線を送り、あの金メダリストに続く凱旋やコラボ企画実現への期待が高まっている。


 照ノ富士が隆の勝を力強く寄り切って、初日から3連勝を飾った。取組後は「落ち着いて前に出られた。慌てることなくやろうと思っていた。始まったばかりなんで、最後まで頑張っていきたい」と自信に満ちた表情。師匠の伊勢ヶ浜審判部長(元横綱旭富士)も「気合が入っている。一番一番、しっかり落ち着いている」と盤石の相撲内容に目を細めた。

 その新横綱の動向に、照ノ富士が高校時代を過ごした「第2の故郷」の鳥取県も熱視線を送っている。2015年には「とっとりふるさと大使」に就任するなど、両者のつながりは深い。鳥取県スポーツ振興局の担当者は序二段転落から頂点まで上り詰めた快挙に「県としても応援していたので、うれしい気持ちが大きかった。多くの勇気をいただきました」。

 7月に鳥取県が豪雨被害に見舞われた際には、照ノ富士から「自分の相撲で元気を与えられればいい」とエールを送られたこともある。同担当者は「優しさに励まされました。鳥取のことを常に気にかけていただいて感謝しています」と新横綱の〝郷土愛〟に感激しきりだ。

 また、鳥取県は美しい星空を観測できることから「星取県」としてさまざまプロジェクトに取り組んでいる。力士にとってはゲンがいいネーミングでもあることから「(相撲では)縁起のいい呼び名でもあり、そういう切り口でPRということは考えられるかもしれません」(同担当者)と将来的なコラボの可能性も浮上している。

 さらに、今回の横綱昇進を機に期待が高まっているのが、鳥取への凱旋だ。照ノ富士は昨年7月場所で5年ぶり2度目の優勝を達成。翌月の8月には母校の鳥取城北高校を表敬訪問している。新型コロナウイルス禍で実現にはハードルがあるものの、前出担当者は「(横綱として)凱旋となれば県民の皆さんは喜ぶと思います」と熱望した。

 最近では、同県出身で東京五輪女子ボクシング金メダリストの入江聖奈(日体大)が大会後に凱旋を果たし、県民から大歓迎を受けた。照ノ富士が新横綱で優勝後に鳥取を訪れれば、入江に負けない盛り上がりを見せそうだ。