審判批判で大騒動を巻き起こした大相撲の横綱白鵬(29=宮城野)が1日、東京・両国国技館で開かれた少年相撲大会「白鵬杯」に実行委員会名誉会長として出席した。ところが、約50人の報道陣が集まった会見では騒動に関する質問をシャットアウト。会見後も無言を貫いた。前日1月31日に民放局の番組に生出演して謝罪の言葉を口にしたとはいえ、最後まで本心は見せずじまい。ウヤムヤな“幕引き”の背景とは――。

「白鵬杯」の会見には、テレビカメラ7台を含む約50人の報道陣が集結。その発言に注目が集まった。ところが、白鵬サイドは会見が始まる前、今回の騒動に関する質問は受け付けないことを一方的に通達。会見では「今大会が第5回で今まで以上に子供たちがたくさん集まった」などと話したが、反省や謝罪の言葉は一切なかった。

 会見終了後に「テレビ番組で謝罪していたが」と質問が飛んでも無言。人さし指を口にあてるしぐさをしただけ。その後もダンマリを決め込んだ。白鵬は前日の1月31日にテレビ朝日系の「SmaSTATION!!」に生出演し「場所後の件ですが、多くの人々にご迷惑をかけ、また心配をかけ、おわびしたいです」と一応は“謝罪の言葉”を口にした。

 ただ、あくまで民放局の情報バラエティー番組内での発言にすぎず、審判を批判した自らの非を認めたわけでもない。本当に反省しているのか、本心は伝わらないままだ。そして、この日から再び沈黙…。白鵬が見せた対応からも、今後しばらくは反省の意思を示す可能性は極めて低い。過去にも数々の“前例”があるからだ。

 記憶に新しいところでは、昨年九州場所で相手力士に土俵下でダメ押しを見舞った一件だ。この時も審判部が師匠の宮城野親方(57=元幕内竹葉山)を通じて注意。当の白鵬は報道陣からの質問をさえぎり、最後まで反省の態度を見せることはなかった。自らにとって都合がいい時には「いい顔」を見せる一方で、都合が悪くなると徹底的に避ける…。こうした傾向は、実は最近に始まった話ではない。2010年に一人横綱となってから1年ほどたった時期だ。

 白鵬を入門時から支えてきた有力後援会の幹部が激怒する“事件”があった。白鵬のために優勝祝賀会を開き、ご祝儀まで渡したにもかかわらず、本人から直接お礼の言葉がなかったという。その後も何も説明がなかったことから、この後援会は自主解散している。当時、同幹部は「もらったら、もらいっぱなし。お礼の電話の一本もよこさない。人に頭を下げることも知らない」と怒りの胸中を告白。まるで今回の行動を言い当てていたかのようだ。

 白鵬が「角界の父」と仰ぐ“昭和の大横綱”大鵬こと故納谷幸喜氏は、かつて本紙連載の中で次のように記している。「周囲からおだてられるだけでは、何も成長はできない。(中略)自分の周りには厳しいことを言ってくれる人たちがいて、本当にありがたかった」。いったい、白鵬はどこへ向かおうとしているのか。