大相撲秋場所が12日に東京・両国国技館で初日を迎える。注目の新横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)は初日に小結逸ノ城(28=湊)、2日目に幕内豊昇龍(22=立浪)と対戦。宮城野部屋の力士の新型コロナ感染によって横綱白鵬(36)は全休となり、新横綱の優勝に期待が高まっている。

 初日を翌日に控えた11日、電話取材に応じた日本相撲協会の尾車事業部長(64=元大関琴風)は白鵬の休場を「非常に残念」としながらも「新横綱も誕生したし、出場する全力士にいい相撲を取って、多くの皆さんに見ていただければ」と語った。

 照ノ富士は先場所こそ優勝を逃したが、白鵬が休場した3月の春場所、5月の夏場所は連覇を果たしており、尾車部長も「ここ数場所は本当に一番安定した成績を残して横綱に昇進している」と評価。

 それだけに「今場所も気負ったところがなければやってくれるんじゃないかなと期待をしている。白鵬がいない分、一人横綱だが、上で勝ち進んで締めてもらいたい」と期待を寄せている。

 ただし、新横綱が〝独走状態〟に入るようでは盛り上がりに欠けてしまう。これを阻止するためには大関陣の奮起が不可欠。正代(29=時津風)は直近3場所で2桁白星がなく、貴景勝(25=常盤山)はカド番で迎えるが、尾車部長は「2大関が横綱に食らいついていくような優勝争いの展開になるのが理想」ときっぱり。さらに、関脇御嶽海(28=出羽海)、新関脇明生(26=立浪)の名前を挙げ「どこまで頑張ってくれるか」と話した。

 照ノ富士の〝1強〟か、それとも激しい賜杯レースが待っているのか。15日間の戦いがいよいよ始まる。