異色の新十両・石浦 夢を捨てさせなかった白鵬の言葉

2015年01月29日 16時00分

新十両の石浦は苦労人のサラブレッドだ

 遠回りも異色の経歴もすべてが報われた。日本相撲協会は28日に東京・両国国技館で春場所(3月8日初日、大阪府立体育会館)の番付編成会議を開き、石浦(25=宮城野)ら新十両3人を含む、5人の十両昇進力士を決めた。

 

 石浦は関脇逸ノ城(21=湊)や照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)を輩出した鳥取城北高相撲部出身で、父は同部で監督を務める石浦外喜義(ときよし)氏。幼稚園時代からまわしを締めていた“サラブレッド”だが、もともと体格(173センチ)に恵まれなかったことに加え、大学3年時に腸の病気を患ったことで、プロ入りの夢をいったん諦めた。その後、総合格闘技に進もうと道場通いもしたが、同じ道場にいた「謎の40代の男」にまったく歯が立たず転向を断念。国際相撲連盟で働くことに目標を切り替え、大学卒業後すぐにオーストラリアに語学留学に出た。

 

 そんなサラブレッドの血が突如騒ぎ出したのは滞在わずか1か月後。留学先で大相撲のネット中継を見て「胸が熱くなって、やっぱりもう一度やりたい」とプロ入りを決心し、体を作り直した。当時頭をよぎったのが、大学2年時に同級生の大喜鵬(25=宮城野)をスカウトにきた横綱白鵬の言葉。「自分はプロ入りするつもりがなかったのに、横綱は『一緒にやろう』と言ってくれた。だから、プロ入りする時は絶対宮城野部屋に行くと決めていた」

 

 横綱の付け人を務めて精神力を磨き、体重も115キロにまで増加。得意の投げやひねりも生きるようになり、初場所は西幕下6枚目で6勝1敗の成績を残し、鳥取からは後の横綱琴桜以来53年ぶりの関取となった。しこ名は「両親への親孝行」の意味も含め、しばらくは本名のままでいくという。「横綱がクロコダイルのかっこいい雪駄を持っているので、それが欲しいな」とおちゃめに昇進祝いもおねだり。苦難を乗り越えた異色の関取に注目だ。