大相撲初場所9日目(19日、東京・両国国技館)、大関琴奨菊(30=佐渡ヶ嶽)が大関稀勢の里(28=田子ノ浦)を突き落として7勝目。カド番脱出に王手をかけた。「良かったです。悔いのないようにやるだけ」と終盤戦に向けて表情を引き締めた。

 昨年11月の九州場所は6勝9敗。地元で負け越す屈辱を味わった。ちょうど一昨年の同場所で右大胸筋断裂の大ケガを負い無念の途中休場。復活した姿を地元ファンに見せたい思いが強すぎ、気持ちが空回りしてしまったことが原因だという。

「勝たないといけない、と思って負けた。自分の殻に閉じこもって、どんどん自分で自分にプレッシャーをかけていた。自分は全部(気持ちの持ち方が)相撲に出るから」

 猛省のなかで改めて思い出したのは、優勝争いをした昨年名古屋場所で見せた“捨て身の覚悟”だ。今場所も「どういう結果になろうが、自分の相撲が取り切れればいい。腹を決めている人にはオーラがある。自分も出せるようにしたい」と覚悟を固めたことが、好結果につながっている。

 もちろん、大関である以上は勝ち越しは通過点のはず。モンゴル勢が占める横綱陣を相手に意地を見せられるか。