〝優等生横綱〟となれるか。大相撲秋場所(9月12日初日、東京・両国国技館)の新番付が30日に発表され、新横綱の照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)は「みんなに尊敬される横綱になりたい」と番付最高位の責任感をにじませた。また、先月の伝達式の口上で述べた「横綱の品格」についても改めて言及。過去の先輩横綱が起こしてきた失敗は繰り返さない覚悟だ。

 秋場所新番付で西横綱に座った照ノ富士は「必死に頑張ってきた日々を神様が見てくれたかなと思います」と率直な感想を口にした。両ヒザのケガなどで大関から一時は序二段まで転落。どん底から最高位まで上り詰めた新横綱は「親方、おかみさん、後援者の方々、家族、トレーナー…。支えてくれる人がたくさんいて、ここまで来られた」と周囲への感謝の言葉も忘れなかった。

 一方で、照ノ富士が繰り返し語っていたのが綱の責任感だ。「土俵の上でも土俵の下でも、みんなに尊敬される横綱になりたい」と自らが力士の手本になる構え。師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)からも「責任を持って行動しないといけない。立場があるから、軽い気持ちで物事を進めないように」とクギを刺されているという。

 新横綱にとって〝反面教師〟は何人もいる。かつてあこがれの存在だった元横綱朝青龍は数々の問題行動を起こし、最後は2010年2月に暴行問題の責任を取る形で引退した。兄弟子の元横綱日馬富士も17年11月に傷害事件を起こした責任を取って引退している。先輩横綱の白鵬(36=宮城野)は、先場所のヒジ打ちやガッツポーズなどが問題視され、日本相撲協会から注意を受けた。

 照ノ富士は伝達式の口上で「横綱の品格、力量の向上に努めます」と述べている。この日も品格について改めて言及し「人それぞれ考え方も違うと思う。だからこそ、自分の生き方で証明していきたい。これからの自分が、自分の考えている品格だと思っていただければ」と言い切った。その言葉からは、同じ轍は踏まないという強い意志がうかがえる。

 照ノ富士は2週間後の秋場所へ向けて「この地位をずっと目標にして、やっとなれた。これから相撲を盛り上げるように頑張っていきたい」。実力と品格を兼ね備えた横綱となるべく、新たな第一歩を踏み出す。