大相撲の横綱審議委員会(横審)が19日、都内で定例会合を開き、矢野弘典委員長(80=産業雇用安定センター会長)が大関照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)の横綱昇進について「全会一致で決めた」と明かした。横審の内規では「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」としており「準ずる成績の場合は出席委員の3分の2以上の賛成が必要となる」(矢野委員長)。

 そんな中で名古屋場所で3場所連続優勝は逃したものの、千秋楽まで全勝を続けた強さを評価し「2場所連続優勝を果たし、今場所も14勝1敗で準優勝したことを高く評価した。ケガのために序二段まで落ちたが、奇跡の復活は長い相撲の歴史でも特筆に値するもの。近ごろは耳にすることがまれになった根性、辛抱、我慢、不屈の精神という言葉を思い起こさせる」と評価。全委員7人が出席のもと、満場一致での結論となった。

「会社で言えば重役から新入社員になったようなもの」と独特の表現で一時は関取ですらなくなった不遇に理解を示しながら、今後の期待として「少しも浮ついたところがない立派な横綱になってくれると思う。体調管理を万全に。また品格、力量ともに他の力士の目標となる存在となってほしい。本人の自覚だけでなく(日本相撲)協会としても指導してほしい」とし、周囲にも「第73代横綱照ノ富士」のサポートを求めた。

 21日に予定される日本相撲協会の秋場所番付編成会議と理事会を経て、令和初の新横綱が誕生する。