周囲の評価も急上昇だ。大相撲名古屋場所8日目(11日、愛知県体育館)、進退をかける横綱白鵬(36=宮城野)が幕内琴恵光(29=佐渡ヶ嶽)を一方的に寄り切り、自身51回目の中日勝ち越しを決めた。取組後は「6月初めからしてみれば想像できなかったが、場所に入ってからは行きそうだなと。まあ一つクリアしたことになるのかな」と安堵感を漂わせた。

 3月に右ヒザを手術し、6場所連続休場明け。序盤戦は不安定な相撲内容が続いたが、中盤戦以降は盤石の強さが目立ち始めている。日本相撲協会の八角理事長(58=元横綱北勝海)は「白鵬は立派だ。ヒザに不安がある中で勝ち方を知っている。優勝? 目標はそこだろうね」。審判部副部長の藤島親方(49=元大関武双山)も「日に日に良くなっている。相撲勘も戻ってきている」と指摘した。

 もちろん、白鵬にとって勝ち越しは通過点にすぎない。かねて「横綱の勝ち越しは10勝」が持論で、常時12勝以上することを目標に置いている。綱取りに挑む大関照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)と全勝同士で並走する状況にも「自分のことで精一杯。一日一番」。優勝44回を誇る大横綱の表情に貫禄が漂い始めた。