白鵬イライラ2つの原因

2014年11月17日 16時00分

白鵬(手前)は土俵の下で照ノ富士の背中に両手でダメ押し

 偉業の重圧なのか、それとも…。大相撲九州場所8日目(16日、福岡国際センター)、32回目の優勝に挑む横綱白鵬(29=宮城野)が、幕内照ノ富士(22=伊勢ヶ浜)を寄り切って1敗をキープした。歴代単独1位となる通算8度目の年間最多勝を確定させる一方で、土俵下で相手に「ダメ押し」を見舞う“暴挙”に出た。一体、最強横綱の中で何が起きているのか――。

 

 白鵬が今年通算74勝目を挙げて、8年連続8回目の年間最多勝を決めた。北の湖の7回を抜いて歴代単独1位となる大記録に「今日は、ちょっと胸を張っていいのかな」と誇らしげ。その一方で、取組直後に見せた行動をめぐって大きな波紋が広がった。白鵬は照ノ富士を寄り切ると、勢いあまって土俵下へ。次の瞬間、相手の背中にダメ押しを見舞ったのだ。

 

 白鵬のダメ押しは初めてではないが、今回は土俵を下りた後の行為だけに言い訳はできない。明らかな“場外乱闘”だ。これまでダメ押しに比較的寛容だった北の湖理事長(61=元横綱)でさえ「お客さんが下にいる。あそこで止まるくらいじゃないと」と注文をつけたほどだ。土俵下で審判長を務めた朝日山親方(64=元大関大受)も「今日のは明らかにダメ押し」と苦言。9日目に審判部内で協議し、支度部屋に注意を喚起する張り紙を掲示する方向だ。

 

「優等生」とまで言われた以前の白鵬なら、このような行為に及ばなかったはず。最強横綱は、どうしてしまったのか。朝日山親方は「勝負の流れの中でなら分かるが、完全に勝負の後だから。気持ち的にも余裕がなくなっているんじゃないか」と本紙に指摘する。

 

「心の余裕」を失う理由があるとすれば、まず考えられるのは大記録を前にした重圧だ。実際、ここ数場所の白鵬には明らかな“異変”が見て取れる。30回目の優勝がかかった名古屋場所ではダメ押しをした上に、相手をニラみつけたこともあった。

 

 大鵬の記録に並ぶ優勝32回に挑む今場所は、約2年ぶりに金星を配給。まさかの取りこぼしで全勝の横綱鶴竜(29=井筒)を追いかける立場になった。記録への強い思いが精神面に何らかの影響を与えたとしても不思議ではない。

 

 もう一つの理由が、関脇逸ノ城(21=湊)の急速な台頭だ。秋場所ほどの勢いはないものの、今場所も6日目に鶴竜を相手に約2分半の大熱戦を繰り広げるなど力を発揮した。

 

 白鵬は先場所の初対戦で怪物を退けたとはいえ「自分が抜かれるなら、この子」と評するほどの逸材。ウカウカしていられないというのが本音だろう。くしくも、この日の取組前の時点で、9日目に逸ノ城と対戦することが発表された。

 

 優勝32回を目前に、歯車の狂いを見せ始めた白鵬。平常心を保てるかどうかが、逆転Vのカギとなりそうだ。