復活の日はやってくるのか。大相撲九州場所3日目(11日、福岡国際センター)、横綱日馬富士(30=伊勢ヶ浜)に早くも土がついた。平幕の高安(24=田子ノ浦)を相手に「勇み足」で痛恨の取りこぼし。賜杯争いから一歩後退し「ちょっと焦っちゃったかな。負けは負け」と悔しさをにじませた。

 秋場所は「右眼窩内壁骨折」で途中休場した。再び強い衝撃を受ければ失明する危険があったため、1か月以上にわたって本格的な稽古ができなかった。もともと稽古で調子を上げるタイプ。横綱が出る以上は優勝争いを義務付けられるとはいえ、ある程度の苦戦は仕方ない面もある。ただ、日馬富士の場合は「優勝は来場所以降に…」などと悠長に構えていられそうにない。

 優勝から5場所も遠ざかっている上に、新関脇逸ノ城(21=湊)が急速に台頭してきたからだ。日馬富士は今場所初日に初対戦。一方的に寄り切って貫禄を示した。それでも、怪物の底知れぬ潜在能力は角界内で誰もが認めるところ。ある親方は「(日馬富士は)ここ半年くらいのうちに優勝できなければ、もうチャンスは巡ってこない。逸ノ城が本当の力をつけてくれば、すぐに勝てなくなる」と断言した。

 日馬富士が来年で31歳になるのに対して、逸ノ城は22歳で成長著しい。力関係が逆転するのは時間の問題というわけだが…。ここから綱の意地を見せられるか。