大相撲秋場所9日目(22日、東京・両国国技館)、豪栄道(28=境川)が稀勢の里(28=田子ノ浦)との大関対決を制して6勝目を挙げた。取組後は「(首投げは)たまたまです。大関同士? 変に意識しないで、何でも思い切りやろうと思った」。序盤戦は黒星が先行したが、ようやく存在感を発揮した。

 新大関として迎えた大事な場所だが、誰もが納得する好成績を残したい“特殊な事情”も絡んでいる。7月の名古屋場所は12勝3敗。直近3場所の合計32勝で、大関取りの目安とされる33勝に届かなかった。しかも、関脇で2場所連続で2桁白星もない。こうした経緯から角界には「大甘昇進」との見方もあった。

 なかでも、今回の大関昇進に不満を抱いているのは関取衆の3割強を占める外国出身力士たちで「何で大関に上がるの?」と疑問視する声が相次いでいたという。この背景には、協会の「和製力士優遇」とも取れる動きがある。稀勢の里は昨年、13勝でのV逸が2度あったが、いずれも翌場所は「綱取り場所」として認定された。

 平成以降の横綱昇進の基準となっていた「2場所連続優勝」の条件は事実上、緩和された。さかのぼれば、その稀勢の里も32勝で大関になった。そして、今回の豪栄道の大関昇進…こうも似たようなことが続けば、外国勢の目には「不平等」と映るのも当然か。

 いずれにしても豪栄道とすれば大関の地位に恥じない成績で周囲の“雑音”を封じ込めておきたいところだ。