横綱日馬富士(30=伊勢ヶ浜)が大相撲秋場所5日目(18日、東京・両国国技館)から休場した。反則負けとなった前日4日目の幕内嘉風(32=尾車)との取組で右目付近を強打。この日、都内の病院で精密検査を受け「眼窩内壁骨折」と診断された。手術を回避した場合は全治1か月、手術を受けた場合は全治3か月を要する見込みだという。

 師匠の伊勢ヶ浜親方(54=元横綱旭富士)は「目(眼球)は大丈夫だが、目の奥を骨折していて鼻血が止まらない」と説明。手術の可能性については「腫れが引かないと、どんな治療をするか分からない」と明言を避けた。仮に手術を受けるとなれば、次の九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の出場は絶望的。実質的に2場所連続の休場となる。

 しかも来年1月の初場所さえ、万全の状態で臨める保証はない。患部が完治していたとしても、相撲勘に大きな不安が残る。親方衆からは「1月場所も休んでいるし、その後もパッとしない。(長期休場から)戻ってきたところで(横綱の)地位が務まるのか」といった指摘も出ている。

 日馬富士は今年の初場所を左足首痛で全休。復帰後の成績は12勝、11勝、10勝と下降線をたどり、横綱審議委員会からも苦言を呈されている。次の休場明けに横綱らしからぬ失態を繰り返せば、くすぶっていた「進退問題」に一気に火が付きかねない。横綱昇進後、最大の試練を乗り越えることはできるのか。