大相撲夏場所2日目(10日、東京・両国国技館)、大関陣に早くも黒星だ。朝乃山(27=高砂)が幕内明生(25=立浪)に押し出されると、照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)こそ幕内北勝富士(28=八角)を送り出して連勝したが、正代(29=時津風)は幕内若隆景(26=荒汐)寄り切られ、貴景勝(24=常盤山)も小結御嶽海(28=出羽海)に押し倒されて敗戦。4大関で〝1勝3敗〟という寂しい内容に終わった。

〝負の連鎖〟は朝乃山から始まった。明生との一番では、相手を土俵際まで追い込んだものの、体を入れ替えられて逆転負け。取組後は「(立ち合いから)踏み込んではいたが、押したときに両脇が空いてしまい投げをくらった」と反省。出足に手応えを感じつつも課題が残る内容となった。

 今場所は出場力士最高位として結果が求められる立場。初日は結びの一番で土俵に立ち、白星発進すると「(目標は)優勝です」と力強く語っていた。

 ところが、この日の朝乃山について、土俵下の伊勢ヶ浜審判長(60=元横綱旭富士)は「明生が土俵際でうまくかわしたけど、朝乃山はしっかりつかまえて、かいなを返して前に出ればいいのに。慌てたわけではないと思うが強引だった。自分の相撲、上手取る形があるんだから」と注文を付けた。

 一方、大関陣で土がついたのは朝乃山だけではない。照ノ富士こそ白星を飾ったが、カド番の正代、貴景勝がそれぞれ屈し、4大関で〝1勝3敗〟。これには伊勢ヶ浜審判長も「本来は引っ張らないといけないけど、仕方がない」とコメントするしかなかった。

 ただ、場所前に尾車事業部長(64=元大関琴風)が「『横綱が休んでいるから、俺たちの中から優勝しなきゃダメだ』という目標を立てて臨んでもらいたい」と奮起を促していたように、大関陣にも場所を引っ張る自覚はあるはず。

 また、昨年初場所以降、7場所中3場所で〝平幕V〟が誕生しており「見ているお客さんに〝番付って何なんだ〟と思われないように。大関の責任は大きい」(尾車部長)と付け加えた。

 横綱不在の15日間は早くも波乱の予感が漂っているが…。4大関から優勝力士は出てくるのか。