日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で大相撲夏場所(5月9日初日、国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇照ノ富士(29=本名・ガントルガ・ガンエルデネ、伊勢ヶ浜)の大関昇進を正式に決定した。

 師匠の伊勢ヶ浜親方(60=元横綱旭富士)は東京・江東区の部屋で行われた伝達式後の会見で「本人は長い間ずっと苦しんできたが、それに負けずにずっと頑張ってきた成果だと思う。我慢してくれたから今があるんじゃないかなと」と語った。

 両ヒザの故障や内臓疾患などに苦しみ、引退を考えていた照ノ富士と話し合いを重ねて現役続行を促した。伊勢ヶ浜親方は「病気があればなえてしまうから、病気を治すことで気持ちが前向きになればいいと思っていた」と振り返る。

 そんな照ノ富士が前向きになったのは幕下で勝つようになってきたからだったという。「そこらへんから関取になれるんじゃないかとか、幕内になれるんじゃないかというのが見えてきた」。また、体調面についても「内臓もだいぶ良くなった感じだったし、普段の見た目から元気が出ていた。病気で落ち込んでいたのが払拭された感じになっていた」と、奇跡の復活を予感させていた。

 こうして大関に復帰した照ノ富士だが、春場所で優勝を果たして返り咲いたことに伊勢ヶ浜親方は「立派。(昇進の目安)ギリギリというわけではないし、やっぱり優勝して、しっかりした形を残して大関になっているから」と目を細めた。

 この復活劇について「部屋というよりも相撲界全体で諦めずに頑張ればやれるというものを示している。それは各力士のお手本にもなるし、まだまだこれから相撲界全体で頑張る力士がいっぱい出てくると思う」と伊勢ヶ浜親方。多くの力士に勇気を与えたことは間違いない。