大相撲春場所11日目(24日、東京・両国国技館)、大関朝乃山(27=高砂)は幕内妙義龍(34=境川)を万全の相撲で寄り切り、8勝目で勝ち越しを決めた。

 鋭い立ち合いから右をねじ込むと、上体の圧力で相手の体勢を崩し、最後は左上手を引く危なげない取り口。「しっかり踏み込めて右を差せた。落ち着いて体を預けられた」と会心の内容を振り返った。

 場所入り直後に横綱鶴竜(35=陸奥)の引退のニュースを知り「びっくりした」という。過去の対戦成績は不戦勝1つを含む2勝2敗。だが、対戦以上に稽古場での思い出のほうが印象深い。

「新入幕のころに稽古をつけてくれた。出稽古に行っても稽古をつけてもらった。それで力がついたというのはあります」

 3敗を守り、この日敗れて2敗となった小結高安(31=田子ノ浦)とは星一つの差となった。「並んではいない。1差なので追いかけるだけ」と言いつつも「体は動いている」と調子は上向き。逆転に向けて自分の相撲を取りきる覚悟だ。