夫婦で〝頂点〟に再チャレンジだ。大相撲春場所10日目(23日、東京・両国国技館)、元大関の小結高安(31=田子ノ浦)が大関貴景勝(24=常盤山)を上手投げで破って9勝目。大関復帰への起点となる三役での2桁勝利に王手をかけた。後続に2差をつけて悲願の初優勝に向けても大きく前進し「とりあえず2桁を目指して。千秋楽まで集中していく」と気持ちを引き締めた。

 昨年7月に演歌歌手の杜このみ(31)と入籍。高安が大関だった一昨年10月の婚約発表では、番付の最高位「横綱」への昇進と、歌番組の最高峰「NHK紅白歌合戦」への出場を互いに誓い合った。力士と結婚する女性は入籍や出産を機に仕事を辞めるケースも少なくない中、高安は「本人が歌っている姿が励みになる。支え合っていきたい」とパートナーの夢に理解を示している。

 2月に第1子となる長女が誕生しても、2人で掲げた目標は変わらない。このみ夫人は自身の公式ブログでファンに向けて出産を報告した際に「私のお仕事に関しましては、体調がしっかり回復してから、また元気に歌う姿をお届けできるよう頑張って参ります」ときっぱり。子育てと仕事の両立で多忙を極めることは覚悟の上で〝現役続行〟を宣言した。

 大関からの陥落を経験した高安も「もう一度、最高位を目指して頑張っていきたい」とぶれずに高い目標を掲げてきた。今場所で初優勝を果たせば、来場所以降の大関返り咲きを目指す上でも大きなプラス材料。終盤の残り5日間で、しぼみかけた夢に再挑戦するチャンスをつかみにいく。