これで横綱なのか…。大相撲名古屋場所9日目(21日、愛知県体育館)、横綱日馬富士(30=伊勢ヶ浜)が平幕の豪風(35=尾車)に押し出されて3敗目。優勝争いから脱落した。取組後は「あーあ。自分の相撲が取れなかった。体は動いている? うん。でも勝ちにつながらなきゃ、どうしようもない」と自嘲気味に薄ら笑いを浮かべた。

 4日目には嘉風(尾車)に最年長初金星(32歳3か月27日)を配給。6日目は大砂嵐(22=大嶽)に歴代2位のスピード初金星(初土俵から15場所)を献上した。そして、今回は豪風が最年長初金星(35歳)を大幅に更新…。横綱にとっては不名誉な記録ばかり。しかも、横綱通算10場所(全休の1場所を除く)で13個目の金星は1場所で1個以上のハイペースだ。

 一昨年の名古屋場所から2場所連続の全勝優勝で横綱に昇進するまではよかったが、上がってみればこの体たらく。親方衆の間では「(3横綱のうち)一番早く引退するのは日馬富士」との見方がもっぱらだ。親方の一人は「早くて今年か、来年。せいぜい持っても、再来年あたりまでだろう」とまで言い切った。

 北の湖理事長(61=元横綱)も「今場所の2桁(10勝)も厳しい。横綱が2桁を割ったらズルズルいく。『勝たなければ』と余計に神経を使う。優勝は遠のく一方になる」と厳しい見方を示す。今場所の不振が焦りを生み、さらなる成績不振につながる悪循環に陥る可能性を指摘したが…。崖っ縁の横綱は“負のスパイラル”を回避できるのか。