大相撲夏場所13日目(23日、東京・両国国技館)は満員の1万605人の観客を集める「札止め」となった。東京場所の平日としては1999年の初場所13日目以来。14日目と千秋楽は前売り券が完売しており「若貴ブーム」にわいた97年夏場所以来17年ぶりに大入りが10回に到達することになった。

 観客動員は昨年あたりから回復してきているが、劇的な増加は幕内遠藤(23=追手風)の人気だけではないだろう。このところ日本相撲協会は“吹っ切れた”ファンサービスを連発。2月は遠藤の「お姫さま抱っこ」、4月には動画投稿サイトでの巡業のネット中継や横綱大関陣の「赤ちゃん抱っこ」のイベントを開催した。6月には歌自慢の幕内勢(27=伊勢ノ海)とファンとの「カラオケ大会」も予定されるなど「何でもあり」だ。北の湖理事長(61=元横綱)は「いろいろ企画を考えていくことも必要。今までと同じというわけにはいかない」と迷いなく言い切った。

 ただ、ファンサービスが成果を収める一方、協会の「一番大事なのは土俵の充実」との考えは変わらない。12日目には大関稀勢の里(27=田子ノ浦)の初優勝が遠のき、13日目には遠藤も負け越し。戻ってきたファンの関心をつなぎとめるためには、力士のさらなる奮起が必要だ。