大相撲初場所初日(10日、東京・両国国技館)、綱取り初挑戦の大関貴景勝(24=常盤山)は小結御嶽海(28=出羽海)に屈し、まさかの黒星スタートとなった。

 声援の自粛を求められている国技館がどよめいた。貴景勝は立ち合いから御嶽海に押し込まれると、じわじわと後退していく。そこから反撃に転じるかと思われたが、相手に回り込まれて押し出された。今場所最大の注目力士の黒星発進。取組後は「理由があって負けてるから。修正して、切り替えて頑張っていきたい」と淡々と振り返った。

 大関は常に「負けたら自分が弱いだけ」と自らに言い聞かせるように口にする。今場所は白鵬(35=宮城野)と鶴竜(35=陸奥)の両横綱不在に加えて綱取りがかかる立場上、これまでとは比にならない重圧を感じてもおかしくないが、本人はこの日も「緊張? 自分はいつも通りだった」と強調。続けて「勝たないと意味がない」とやはり土俵外に敗因を求めようとはしなかった。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下、観客の上限を5000人に設定して開催されたものの、コロナの影響で4部屋65人の力士が休場する異常事態で初日を迎えた。これ以上、角界で感染者が増えれば本場所が打ち切られる可能性もあるが、大関は「こういう状況だけど、出ている力士は一生懸命やることが何かの活力になればいいと思っている。自分は少しでも影響を与えられたらという気持ちで頑張っていきたい」と気合十分だ。

「伸び伸びと自分の相撲取りきれれば」と話す貴景勝。自然体を貫いて〝勝負の15日間〟を戦い抜く。