大相撲春場所11日目(19日、大阪府立体育会館)、元大関の関脇琴欧洲(31=佐渡ヶ嶽)が休場した。日本相撲協会に「左肩鎖関節脱臼で2週間の休業加療を要する見込み」という診断書を提出。師匠の佐渡ヶ嶽親方(45=元関脇琴ノ若)は「肩が痛くて力を出せないということだった。体を休めて何とか来場所に、と思っている」と神妙に話した。

 とはいえ、このまま現役を続けたとしても先行きは明るくない。関脇に陥落して迎えた初場所は8勝7敗で、大関復帰(10勝以上が条件)に失敗。目標を見失った今場所は2日目からズルズルと9連敗した。佐渡ヶ嶽親方は「琴欧洲の場合は気持ちの持ちよう。気持ちさえしっかり持ってくれれば…」と体調よりも精神面を心配していた。

 大関として47場所(歴代4位)、丸8年にわたって地位を守り続けた力士が、平幕で相撲を取ることに意義を見いだせるのかは疑問符が付く。琴欧洲には引退後、親方として力士を育てる目標もある。今年1月には申請から2年近くかけて待望の日本国籍を取得。本紙に「ずっと待たされていたから、ホッとした」と心境を吐露していた。

 さらに「独立して自分で部屋を持つことは、夢としては持っている。でも、順番があるから。まず親方をやってみて、どんなものかを勉強しないと。ちゃんと部屋を経営していくことができるのかとか…。実際に親方をやってみないと分からないことがたくさんある」と引退後の具体的なプランまで明かしていた。

 明確な目標がないまま力士を続けるのか、将来の夢に向かって新たなスタートを切るのか。少なくとも、琴欧洲の頭の中では「引退」のカウントダウンが始まっていることは確かなようだ。