限りなく“赤信号”だ。大相撲春場所3日目(11日、大阪府立体育会館)、綱取りに挑む大関鶴竜(28=井筒)は幕内隠岐の海(28=八角)に一方的に押し出されて早くも土がついた。綱取りの目安は「13勝以上での優勝」。数字上は可能性を残しているとはいえ、序盤戦で平幕に完敗し、ほぼ「絶望的」になったと言っていい。

 北の湖理事長(60=元横綱)は「一方的な相撲。先場所も前半戦の内容は良くなかった。(苦し紛れに)はたくのは悪い癖。(綱取りの条件を)優勝を前提とすれば、もう落とせない」と手厳しい。

 実際、14勝1敗の好成績を収めた初場所も相撲内容自体は低評価だった。引きやはたきが目立ち、土俵際の辛勝で星を拾うこともしばしば。今場所も初日に格下の幕内遠藤(23=追手風)に土俵際まで押し込まれ、はたき込みで辛うじて黒星を免れた。

 審判部の親方からは「格下を圧倒できていないし、内容が悪い。今の力で横綱に上がったとしても、引退(の時期)が早まるだけ。本人が一番分かっているはずだ」と今場所の綱取りそのものに懐疑的な目を向ける見方もあるほどだ。

 取組後の鶴竜は「立ち合いがダメですね。悪いところが出た」と話す一方で「綱取りが難しくなった? 目の前の一番に集中してやるだけ」と前を向いたが…。今場所は綱取りにもかかわらず注目が集まらなかったのは、「遠藤人気」だけが理由ではない。鶴竜の置かれている厳しい現実が浮き彫りとなった格好だ。