コロナ禍とは無縁? 大相撲11月場所12日目(19日、東京・両国国技館)、幕尻の志摩ノ海(31=木瀬)が幕内竜電(30=高田川)を下手出し投げで破り、自己最多の11勝目(1敗)。大関貴景勝(24=千賀ノ浦)と優勝争いの先頭を並走している。

 三重・志摩市出身。明徳義塾高から近大を経て2012年夏場所で初土俵を踏んだ。関取が目前の幕下上位で左ヒザを痛め、序ノ口転落を経験した苦労人でもある。今場所の快進撃で兄弟子の“再現”の期待もかかる。初場所では幕内徳勝龍(34)が同じ幕尻で初優勝。志摩ノ海は優勝パレードのオープンカーで旗手を務めた。「旗手でも乗せてもらってよかった。(優勝力士として)乗りたい」。今回は新型コロナウイルスの影響でパレードは行われないものの、優勝を身近に感じるきっかけとなった。

 好調の要因の一つに恵まれた稽古環境がある。日本相撲協会は新型コロナの感染防止のため3月の春場所以降は出稽古を禁止。木瀬部屋の関取衆の人数は角界最多の7人を誇り、出稽古ができなくても稽古相手に困ることはない。徳勝龍、志摩ノ海の幕内勢に加えて、十両復帰を果たした宇良(28)ら相撲スタイルもさまざまだ。

 志摩ノ海も「いろんなタイプがいるので。胸からとか頭から来る人がいる。いい稽古ができていると思います」と話している。この日まで部屋の関取は5人が白星を先行。普段から切磋琢磨できる環境が好循環を生む。同じ部屋から2人目の幕尻Vなら史上初。波乱で始まった1年は、再び波乱で終わるのか。