これも地味キャラの宿命なのか。大相撲春場所(3月9日初日、大阪府立体育会館)の新番付が24日、発表された。初の綱取りに挑戦する大関鶴竜(28=井筒)は大阪市内で会見し「いい経験になると思う。硬くならずに、思い切りできたらいい」と意欲を見せた。

 その一方で、寂しすぎる現実も浮き彫りになった。鶴竜の会見に訪れたのは約30人の報道陣とテレビカメラ2台。約15分間の取材対応だったが、東前頭筆頭の遠藤(23=追手風)の会見には約40人の報道陣とテレビカメラ5台が集まった。しかも質問が途切れないため30分以上も続くなど、場所前の注目度は明暗くっきり。完全に「主役」の座を奪われてしまった。

 振り返れば、初場所も横綱白鵬(28=宮城野)と優勝争いを繰り広げたにもかかわらず、場所の中盤まで鶴竜の話題が上がることは少なかった。日本相撲協会の幹部からも「鶴竜? いたの」と言われてしまう始末。千秋楽で白鵬と優勝決定戦を戦い、ようやく脚光を浴びたにすぎない。

 女性ファンが殺到するなど、遠藤人気が急上昇中という状況はあるにしても、普段から地味なキャラクターが影響した面は否めない。なんとも寂しい限りだが、大関の貫禄を示すには、初顔合わせとなる今場所で力の違いを見せつけるしかなさそうだ。