いよいよ“待ったなし”だ。大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が持病の腰痛のため11月場所(8日初日、東京・両国国技館)を休場することが決まった。ここまで出場を目指して稽古を続けてきたが、相撲を一度も取らないなど大幅に調整が遅れていた。今回で3場所連続の休場。今年の5場所(5月の夏場所は新型コロナウイルスの影響で中止)で、皆勤は3月の春場写真所1度だけだ。

 鶴竜は「(本場所に)出たときには、ちゃんとした結果を残さないといけない。この状態で出てもしょうがないと思います」と説明。「まわしをつけていると痛い。一度(腰の骨が)ズレちゃうと、元に戻るには時間もかかる。そうなってしまうとせっかくつくった体がまた落ちて、また戻さなきゃという作業の繰り返しになっている」と“負の連鎖”に陥っている。

 今度ばかりは、周囲も黙って見過ごしてくれそうにない。9月の秋場所後に開かれた横綱審議委員会の会合では、休場続きの横綱に対して「引退勧告」などの決議を下すべきとの意見が出た。この時は判断が先送りされたものの、さすがに今回は何らかの決議が下される可能性が高い。

 師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)も「(横審から)言われるのは、もう仕方ないこと。これ以上は休めないと思う。負けたから(場所の途中で)また休むとか、それはもう無理なことだから。本人は次(ラストチャンス)と思って、覚悟してると思います」と厳しい現実を受け止めた。

 来年の初場所(1月10日初日、両国国技館)に進退をかける横綱は“土俵際”で踏みとどまることができるのか。