大相撲秋場所(東京・両国国技館)で大関朝乃山(26=高砂)が長い沈黙を破った。初日から3連敗後に8連勝した11日目(23日)の取組後、初日以来10日ぶりに報道陣のリモート取材に対応。「(3連敗は)ショックでした。休場しようかと思った。(取材対応は)白星が先行したり、勝ち越しを決めたらやろうかと…」。自ら口を閉ざしていた理由を説明した。

 もともとはメディアに協力的なタイプ。悪夢の3連敗でコメントする気力もなくなるほど追い詰められていた。再び口を開いたのは、心に余裕が出てきたことの裏返し。朝乃山は「応援してくれる人は記事を見るので(メディアに)何も答えないと〝何かあったのかな?〟と思われる。自分は元気です」。白星先行で表情にも明るさが戻ってきた。

 今場所は大関貴景勝(24=千賀ノ浦)も初日から無言を貫いた。8日目には幕内後半の西方力士全員が敗れて一人もコメントしない異例の事態に。これには安治川親方(41=元関脇安美錦)が自身のブログで「負けて悔しいのはわかるが『明日頑張ります』ぐらい言えないのかな」「取材する側、応援する側の気持ちになって考えてみてほしい」と苦言を呈するなど波紋が広がった。

 両大関は名指しをされたわけではないが、他の力士の手本となるべき立場でもある。貴景勝は9日目から沈黙を破り、2敗で優勝争いのトップをキープ。朝乃山も1差で追走している。このまま白星を伸ばし、両大関が再び〝貝〟に戻らないことを祈るばかりだ。