大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)へ向けて、元大関の幕内照ノ富士(28=伊勢ヶ浜)が“禁欲生活”を継続中だ。7月場所は幕尻で30場所ぶり2度目の優勝を達成。両ヒザの故障などで大関から序二段まで転落してから奇跡の復活を果たした。東前頭筆頭の今場所で勝ち越せば、三役復帰は確実。大関への返り咲きも現実味を帯びてくる。

 照ノ富士は「できるだけ多く勝って(三役復帰の)チャンスをつかみたい。大関の地位? 近づいてきたなと。一日一日集中してやるだけ。その後に結果がついてくればいい」と静かに闘志を燃やしている。年6場所制以降、大関から平幕転落を経て大関復帰を果たしたのは魁傑だけ。序二段まで落ちた力士の大関再昇進は、もちろん史上初の快挙となる。

 さらなる高みへ向けて、ストイックな生活も続けている。本紙で報じた通り“脱・朝青龍”で優勝した先場所後も、すぐにトレーニングを再開。遊ぶ時間は一切なかったという。「飲みに行くわけじゃないから。(新型コロナウイルス禍で)時期が時期なので。筋トレと稽古しかやっていない。筋トレをやるのは楽しい」ときっぱり。自分へのご褒美についても「特に欲しいものはない」と言い切った。

 かつてはネオン街で飲み歩き、超高級腕時計などにも興味を示していた姿とは完全に別人。“やんちゃ力士”からすっかり無欲となった元大関は、今後の活躍にも期待が持てそうだ。