大相撲7月場所(東京・両国国技館)で幕内阿炎(26=錣山)の軽率な行動が、波紋を広げている。新型コロナウイルス対策で不要不急の外出自粛が通達される中、2度にわたり「夜の街」で会食をしていたことが発覚。今場所は休場して謹慎することになった。これまでにも数々の騒動を起こしており、日本相撲協会の理事会で処分される可能性も浮上。師匠の錣山親方(57=元関脇寺尾)とともに、角界内で風当たりが強まっている。“お騒がせ力士”はどこへ行くのか…。 

 またしても“お騒がせ力士”が問題行動を起こした。今場所は新型コロナウイルス禍で厳戒態勢が敷かれ、日本相撲協会が定めるガイドラインでも不要不急の外出は自粛することが明記されている。そのさなか、阿炎が協会員以外の部外者と会食していたことが7日目(25日)に発覚。師匠の錣山親方の判断で阿炎は7日目から千秋楽(8月2日)まで休場し、謹慎することになった。

 日本相撲協会の芝田山広報部長(57=元横綱大乃国)は「夜の接待を伴う店に行った。不特定多数を接待することによって感染することがある。スナックなのかラウンジなのかキャバクラなのか分からないが“夜の店”だった。場所前と場所中の2回。場所前もそうだけど、場所中はまずい」と説明。会食には所属部屋が異なる幕下以下の力士1人が同席していたという。

 阿炎と幕下以下の力士は25日の時点で37度以上の発熱の症状もあったが、新型コロナの抗原検査を2回ずつ受けて2度とも「陰性」と判定された。ただ、今回の一件は新型コロナに感染していなければ済む話ではない。阿炎は責任を伴う関取の地位にいるばかりか、これまでにも数々の問題を起こしてきたからだ。

 昨年11月の九州場所前にはインスタグラムに不適切な動画を投稿して炎上し、相撲協会に反省文を提出。

 この一件で力士によるSNSは全面的に禁止となった。今年2月には全協会員が対象の研修会後に「爆睡してた。寝てたし、何も聞いてねーし」などと発言。研修内容には阿炎が騒動を起こしたSNSの危険性も含まれており、協会から厳重注意を受けている。

 芝田山部長は「さんざん何回もやらかして…」と怒り心頭。「場所後の理事会では議題に上がる。幕内の関取が、ああいう形で休場することが一つの事案として報告されるのは間違いない。情状酌量の余地はない」と懲戒処分の対象になることを示唆した。これまでの“累積警告”があるだけに「けん責」や「報酬減額」、場合によっては「出場停止」などの重い処分が下される可能性もある。4か月ぶりとなる本場所再開に水を差す愚行とあって、角界内で師弟に向けられている視線は冷ややかだ。親方衆の一人は「また、あの部屋か」とあきれた様子で「師匠(錣山親方)が甘やかしているから、弟子が調子に乗る。師匠としての責任を取るべきだ」とばっさり。別の親方は「(阿炎は)関取の自覚がないとしか言いようがない。今度やったらクビだ」と容赦なく切り捨てた。

 協会員の多くがルールを守って“禁欲生活”を送ってきただけに、師弟に対する反発も大きい。阿炎は今場所前には3歳年下の一般女性と結婚したことを発表。SNSの炎上騒動の際には、夫人から叱られたことも明かしていた。錣山親方は「(阿炎は)反省している」と話したが…。力士には豪放磊落のイメージがあるとはいえ、いくら何でもやんちゃのやり過ぎ。今回ばかりは、とても説教だけでは済みそうにない雲行きだ。