大相撲7月場所(19日初日、東京・両国国技館)へ向けて関取衆が“動画トレ”に励んでいる。新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所は開催中止となった。余裕ができた時間を利用して多くの力士が取り組んできたのが、過去の力士の取組動画を見ることだ。

 小兵の人気力士、幕内炎鵬(25=宮城野)は「(以前は)あまり見てこなかったけど、時間あるので見るようになりました」。鷲羽山(元関脇)や琴錦(元関脇)ら、自身と同じ「小兵」と呼ばれた力士の取組を研究する一方で、最も影響を受けたのは初代貴ノ花(元大関)だという。「初代貴ノ花関の足腰の強さは本当にすごいなと思って。相撲の取り口は全然違いますけど、見習うところはあります。動画で勉強してイメージしたことを、稽古で出してみるという感じ」と明かした。

 新大関朝乃山(26=高砂)もインターネットで過去の横綱や大関を中心に映像をチェック。「千代の富士関(元横綱)は体が小さい中で左前みつを取るのも早かったし、押されても残って相手の力を出させて最終的には思い切り投げる。印象に残っています。左前みつを取るのは参考になった。僕も最終的には“こうやって取れたらいいな”と思っています」と、昭和の大横綱を手本に挙げた。

 夏場所が中止となったことで、力士たちは日頃の稽古の成果を試す場を失った。ただ、時間的な余裕が過去の力士に目を向けるきっかけとなったことは確かだ。さらなる成長のヒントを得た力士もいる。今回のコロナ禍をプラスに変えることができるか。