【大相撲】7月場所の不安材料 新型コロナ余波で“稽古格差”と開催基準の難しさ

2020年05月25日 16時40分

朝乃山

 国技再開の行方は――。大相撲夏場所(東京・両国国技館)が新型コロナウイルスの影響で開催中止となったが、本場所の中止は八百長問題が発覚した2011年3月の春場所以来9年ぶり3度目の異常事態。日本相撲協会は7月場所(7月19日初日、国技館)の無観客開催を目指す一方で、本場所の再開へ向けて不安材料も浮上している。しばらくは新型コロナ禍の余波が続くことになりそうだ。

 大相撲の本場所が9年ぶりに開催中止となり、本来なら夏場所初日にあたる24日に新大関の朝乃山(26=高砂)はメディアの代表取材に応じて「寂しい気持ちはありますが、この世の中の状況なので仕方のないことだと思っている。(新大関として)早く土俵に立ちたい気持ちはありますが(次の場所へ向けて)焦らずにしっかりと良い準備をしていきたい」と心境を語った。

 日本相撲協会は7月場所の無観客開催を目指す中、新型コロナ禍は各力士の調整にも影響を及ぼしている。すでに部屋によっては師匠の判断でぶつかり稽古など接触を伴う稽古を再開している一方で、協会は出稽古の禁止を継続。現時点では解禁に慎重な姿勢を示している。力士はケガの治療や基礎体力の強化に時間をあてられる半面、実戦的な稽古の不足も懸念される。

 朝乃山のように、本場所へ向けて出稽古で仕上げていくことを恒例にする力士は少なくない。また、豊富な稽古相手がいる大部屋と少人数の部屋との間で“稽古格差”が開く可能性もある。いずれにせよ、どの力士にとっても春場所から約4か月のブランクを取り戻すのは簡単なことではない。さらに、7月場所の開催そのものについても不安材料はある。

 国内の感染者数は減少傾向にあるとはいえ、政府の緊急事態宣言が全面的に解除されれば再び拡大する可能性もあり、まだまだ楽観はできない状況。さらには、開催の可否を判断する基準も欠かせない要素だ。

 史上初の無観客開催となった春場所は力士ら協会員に「一人でも感染者が出た場合には途中でも打ち切り(中止)」とする方針を立て、結果的に無事に15日間を乗り切った。ただ、春場所は国内での感染者数が急増する前の段階で、今とは状況が全く異なっている。すでに協会員の中で親方と力士の7人が感染し、13日には三段目力士が死去する悲劇も起きた。次の7月場所は春場所と同様に新たな感染者が出た時点で中止にするのか、それとも別の基準を設けるのか。協会が希望者全員に対して実施している抗体検査の結果と合わせて、注目が集まる。

 角界関係者は「(7月場所が)実際に開催できるかは、まだ何とも言えない」と吐露し、先行きは不透明。緊急事態宣言が解除されても、しばらくは気が抜けない状況が続くことになりそうだ。