【大相撲春場所】硬派大関・朝乃山 CM&バラエティー番組は自粛します

2020年03月23日 16時40分

大関昇進が確実となった朝乃山はマスクを外して笑顔を見せた

 新型コロナウイルス禍を吹き飛ばす新時代の幕開けだ。大相撲春場所(大阪府立体育会館)を11勝4敗の好成績で終えた関脇朝乃山(26=高砂)の大関昇進が確実になった。日本相撲協会の審判部は朝乃山の真っ向勝負を貫く相撲内容を高く評価。25日に開かれる夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会の承認を経て、正式に「大関朝乃山」が誕生する。和製横綱誕生の期待さえ高まる朝乃山が目指している理想の「大関像」とは――。

 日本相撲協会の審判部は春場所千秋楽(22日)の全取組終了後、朝乃山を大関に昇進させることを決めた。大関取りの目安とされる三役(関脇・小結)の地位で「3場所合計33勝」には1勝足りない32勝。それでも、本格的な四つ相撲で小細工なしの真っ向勝負を貫く朝乃山に対する高い評価は揺るがない。直近6場所で2桁白星が5回という安定感も好印象を与えた。

 審判部長代理の境川親方(57=元小結両国)は「本格的な右四つの形があるし(成績も)大崩れしない。誰が相手でも、堂々とした相撲を取れる。(勝負の)駆け引きもしない」と絶賛。将来の横綱候補としても「本人が持っている資質と伸びしろは十分にある」と太鼓判を押した。今後は25日に開かれる夏場所の番付編成会議と臨時理事会での承認を経て、正式に大関となる。

 念願の大関昇進が確実となった朝乃山は「実感はないです」と言いつつも「プロに入ってから目指してきた。(正式に)大関になったら、小さい子供やプロの世界に入ってきた子たちに尊敬されるような力士になりたい」と早くも看板力士としての自覚を口にした。

 平幕だった昨年5月の夏場所で初優勝。ドナルド・トランプ米大統領(73)から表彰されて一躍「時の人」となった。ただ、当時は話題先行で注目を集めた部分があったことも確かだ。これからは看板力士として名実ともに角界の「顔」を務めることになる。

 今後はテレビCMやバラエティー番組の出演オファーが殺到することも予想される。実際、現役力士では横綱白鵬(35=宮城野)をはじめ、大関貴景勝(23=千賀ノ浦)や小結遠藤(29=追手風)らがCMなどに出演。大相撲の注目度アップに貢献してきた。

 朝乃山自身も常々「有名になりたい」とは話すが、実は本業以外で注目を集めることには消極的な姿勢を示している。「CMは出なくていいです。CMで有名になるのと、大相撲で有名になるのは違うと思うので。バラエティー番組?(番付が)上まで行って、そういう出演依頼とかが来ても、たぶん断りますよ」ときっぱり言い切った。

 もちろん、朝乃山は土俵外での活動そのものまでを否定しているわけではない。地元の富山に帰省した際にはトークイベントなどにも出演している。ただ、それは自らを応援して支えてくれた地元ファンらへの恩返しが目的だった。あくまでも本業の相撲一本で活躍して名前を売るのが大前提。今どきにしては珍しく?CM&バラエティー出演を“自粛”する硬派な力士像を思い描いているのだ。

 いずれにせよ、新型コロナウイルスの影響で初の無観客開催となった春場所は無事に終了した。朝乃山は「(無観客で)寂しかった。来場所はどうなるか分からないけど、いつものようにお客さんが入って声援を受けたい。力士は声援があって力になる」と15日間を振り返った。新大関として臨む夏場所は朝乃山にとっても相撲人生の晴れ舞台となる。今度こそは、通常開催で看板力士としてのお披露目をすることができるのか。