大相撲春場所(大阪府立体育会館)で関脇朝乃山(26=高砂)の大関取りが現実味を帯びてきた。12日目(19日)は幕内隆の勝(25=千賀ノ浦)を押し倒して10勝目(2敗)。大関昇進は三役(関脇・小結)の地位で「3場所合計33勝以上」が一応の目安とされ、今場所の朝乃山の場合は12勝が必要。ただ、平成以降で「32勝」で昇進したケースも3例ある。

 元横綱稀勢の里(33)の荒磯親方も、そのうちの一人。荒磯親方は解説を務めたNHKの大相撲中継の中で、朝乃山の33勝未満での大関昇進の是非を問われると「大関のような相撲。僕はそれでもいいのかなと思います」と見解を述べた。あくまでも昇進の可否は審判部が判断することとはいえ、親方衆の間でも朝乃山は高い評価で一致している。

 日本相撲協会の八角理事長(56=元横綱北勝海)も「ここ1年ぐらい、ずっと2桁(白星)。(昨年5月の夏場所で)優勝してから自信をつけた」と安定感を評価している。大関の地位に“空席”があることも追い風だ。大相撲の番付では東西に大関、関脇、小結の三役は欠かせない。今場所は貴景勝(23=千賀ノ浦)が38年ぶりの一人大関となり、横綱鶴竜(34=井筒)が不在となった西大関を兼任している。

 しかし、大関の力士が東西に並び立つのが本来の形。残り3日間の内容次第では「33勝」に到達しなくても、昇進の機運が一気に高まる可能性がある。朝乃山は「一日一番、自分の相撲を取り切るだけ」と目の前の一番に集中する構え。初の無観客開催となった異例の場所で、看板力士の地位をつかめるか。