まさかの“スピード復帰”だ。新型コロナウイルスの影響で初の無観客開催となった大相撲春場所(大阪府立体育会館)で角界内が安堵感に包まれた。日本相撲協会は10日目(17日)に、発熱の症状で休場中の幕内千代丸(28=九重)が新型コロナウイルスのPCR検査で「陰性」だったと公表した。千代丸は8日目(15日)に39・7度の発熱の症状で休場。9日目(16日)も40度の高熱が続いたため、コロナウイルスの検査を受けた。

 鏡山危機管理部長(62=元関脇多賀竜)によると、師匠の九重親方(43=元大関千代大海)からの報告では千代丸の最終的な診断結果は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」で、10日目の朝の時点で体温は37・7度まで下がったという。相撲協会が定めたガイドラインでは、体温が2日連続で37・5度を上回れば原則休場となる。

 ただ、コロナウイルス感染ではないことが確認できれば基準体温を上回っていても出場できる。このため、千代丸は11日目(18日)から再出場する。相撲協会は当初、発熱の症状があってもPCR検査を受けるまでには時間がかかると認識しており、芝田山広報部長(57=元横綱大乃国)も場所直前に「(すぐに)検査を受けられるのかどうか。現状は難しい」と話していた。

 しかし実際には、最初の休場から検査結果が出るまでに要した期間はわずか3日。事前の予想に反してスムーズに検査を受けられたことが、異例の早期復帰につながった。今場所は力士ら協会員に1人でも感染者が出た場合は打ち切る方針の中、ひとまず中止の危機は回避した格好だが…。果たして、このまま無事に千秋楽(22日)を迎えることはできるのか。